フランス海軍の特殊部隊との共同開発に始まったペラゴスFXDのデザインコンセプトは、今やフランス海軍航空隊のニーズにも応えるに至る。新たに搭載された機能により、飛行士やフライトサポートチームは、現地時間と第3タイムゾーンに加え、「ズールー時間(Zulu Time)」を把握できるようになったのだ。新しいペラゴス FXD GMTは、METASによるマスタークロノメーター認定を受けており、海軍航空隊(Aeronautique Navale)が立ち向かう過酷な現場で求められる精度と信頼性を保証する。
1950年代以来、チューダーはフランス海軍(Marine Nationale)にダイバーズウォッチを公式に提供し、海軍部隊の厳しい任務を支える信頼のおける相棒として活躍してきた。初代ペラゴス FXDモデル(「FXD」とは、ケースにストラップバーが固定“Fixed”された極めて頑丈な構造にちなむ)は、2021年に発表され、チューダーとフランス海軍のレガシーでありつづけている。長年にわたる現場使用を通して、ペラゴス FXDコンセプトはその確かな実績を証明してきた。そして2024年、FXDコレクションは、海軍航空作戦を担うフランス海軍航空隊(Aeronautique Navale)の要求に応じて、さらなる進化を遂げる。ペラゴス FXD GMTは、軍事用語でズールー時間と呼ばれる協定世界時間(UTC)を含む最大3つのタイムゾーンを同時に計測できる。すべての航空機乗員が基準とするズールー時間を表示する本モデルは、重要なミッションを遂行する際に必要不可欠なツールだ。 ズールー時間は、経度0度に位置する子午線時間、つまり一般的に知られるグリニッジ標準時(GMT)に相当する。これは、国やタイムゾーン間のコミュニケーションにおいて混乱を避けるため、世界の航空業界で標準化されている。「ズールー(Zulu)」という名称は、航空業界で使用されているフォネティックアルファベットコード「Z」、または「ゼロ(zero)」の頭文字を表している。
ズールー時間は極めて視認性の高い鮮やかなオレンジの針で示され、24時間でダイアルを1周する。一度針が設定されるとリセットされることはなく、フランス海軍航空隊の海軍兵たちはひと目で航空基準時間を把握できる。「スノーフレーク」の愛称で知られる時針はローカルタイムを示す。時刻設定はリューズで行い、タイムゾーンを変更する際には1時間単位で針がジャンプするため設定は容易だ。前後どちらの方向に回しても、針が深夜12時を過ぎると日付が変更される。第3タイムゾーンは、24時間両方向回転発光ベゼルとオレンジのズールー時間針で把握できる。
TUDOR AND THE FRENCH NAVY
2021年、新たな展開を迎えることとなったチューダーと「マリーン・ナシオナル(フランス海軍)」の比類なき物語は、1956年に端を発する。当時、トゥーロンに拠点を置いた仏海軍附属機関の水中研究調査グループ(G.E.R.S – Groupe d’Etude et de Recherches Sous-Marines)は、実際の使用環境で評価するために2種のオイスター プリンス サブマリーナーを取り寄せた。それぞれ100mの防水性能を備えた、自動巻のRef.7922と手巻のRef.7923である。当時のG.E.R.S司令官が下した判断は、いずれの時計も防水性能は「完璧」、そして機能も「完全に正確」。チューダーのダイバーズウォッチの可能性を確信した彼は即座に時計の発注量を増やし、こうしてチューダーは1961年にフランス海軍の制式サプライヤーの地位を得たのである。
チューダーのダイバーズウォッチはその後も開発され続け、フランス海軍は後の数十年間にわたり、多くのチューダーウォッチを使用した。今日、フランス海軍によってかつて使用されたチューダー ダイバーズウォッチで最も有名なのが、象徴的なブルーのダイアルとベゼルを備えたRef.9401だ。ケースバックに「M.N.」のイニシャルと製造年が刻印されたこれらの時計は、最初はアワーマーカーと「スノーフレーク」針を備えたモデル、そしてトライアングルのアワーマーカーを備えた後発バージョンの2種類で展開された。70年代半ばに誕生したこのモデルは、1980年代まで継続してフランス海軍に提供された。21世紀に入ってからは、特にフランス海軍の潜水学校や戦闘ダイバーの間で使用されていた。
2021年、チューダーはこの歴史的パートナーシップを記念し、フランス海軍の戦闘ダイバー部隊と共同開発した海中ナビゲーションのための新しいテクニカルウォッチを発表した。厳密かつ高度な要求仕様に基づき開発されたペラゴス FXDモデルは、チューダーにとって新たな機能を多数導入した。その中でも特に、42mmチタニウム製ケースに固定されたストラップバーは、さらなる堅牢性と信頼性を実現するに至った。ラグ同士をつなぐこの形状は、本モデルの独特なシルエットのキーとなっている。ペラゴスFXD GMTを通じて、チューダーとフランス海軍が共有する長い歴史に新しいチャプターが書き加えられた。FXDコンセプトを海軍航空隊の時間管理ニーズに応える堅牢なソリューションとして展開することだ。
FORM FOLLOWS FUNCTION
ラファール戦闘機のコクピットやアトランティック2対潜哨戒機の機内、またはヘリコプター搭載艦の航空管制塔には、フランス海軍航空隊であること以外に、共通点がある。それは、すべてズールー時間で運営されていることだ。このズールー時間を管理しやすくするために、チューダーはペラゴス FXD GMTを開発した。現場使用を通じた実績のあるFXDコンセプトを基に、この時計はすべての機能性を備えている。ストラップバーが固定された頑丈かつ軽量なグレード2 チタニウム製ケースは200mの防水性能を有し、マットな質感のブラッシュ仕上げ。高性能機械式ムーブメントを搭載した42mmケースは、コントラストが際立つダイアル、カラーコーディングされた針、そして鮮やかなオレンジが映える、ハンドメイドの矢印型24時間針が特徴的だ。これらの針、アワーマーカー、そしてベゼルの発光塗料が瞬時に時刻情報の確認を可能にし、暗い環境や夜間でもより高い視認性を実現。さらに、時針、分針、秒針を含むアワーマーカーは、ブルーの発光塗料で、グリーンに発光する24時間針と24時間目盛り入りベゼルと区別される。いつでもズールー時間を直感的に読めるよう細部がデザインされているのだ。さらに、ジャンピングアワーと連動した日付調整機構を備えたMT5652-Uマニュファクチュールキャリバーの実用性が加わることで、航空ミッションにおいて完璧な時間管理を実現する究極のツールとなる。
ペラゴス FXD GMTがフランス海軍とその航空部隊から制式採用されていることを表すため、グレード5 チタニウム製ケースバックには、「Aeronautique navale(フランス海軍航空隊)」のロゴである翼を広げた錨の上にスター、そして歴史にインスパイアされた各時計の製造年を示す「Marine nationale 2024」の“M.N.24”のエングレービングが施されている。
A BRACELET WOVEN IN THE FRENCH NAVY’S HERITAGE
かつてチューダーはフランス海軍にブレスレットなしで時計を納品し、隊員たちはハンドメイドのストラップなど、各々にフィットするものを取り付けて使用していた。編み込んだナイロンから作られたブラックストラップと、そこまで一般的ではないが、グリーンの色とイエローあるいはレッドのラインが特徴的なパラシュートの伸縮素材を使った手作りのストラップという2種類のストラップが、長年にわたり特に使用されていたようだ。ペラゴス FXD GMTでは、フランス海軍と密接に関連しているこれらの超機能的かつ歴史的価値のあるストラップにオマージュを捧げているのである。ペラゴス FXD GMTのストラップのカラーは、フランス海軍航空隊の飛行士が着用するフライトスーツの色とマッチしている。
チューダーは2010年にいち早くファブリックストラップを採用して以来、常に先駆者であり続けている。フランスのサン・テティエンヌで150年以上家族経営を続けるジュリアン・フォール社によって、19世紀製の織機を用いて生み出されるファブリックストラップ。それは品質と快適さを両立する唯一無二の存在である。ペラゴス FXDのためにジュリアン・フォールとチューダーは、新しい構造の高性能ストラップを開発した。22mmグリーンポリエステル製織りリボンのストラップは、グレード2 チタニウム製ピンバックルとキーパー、フランス国旗のブルー、ホワイト、そしてレッドのフランス海軍航空隊のラウンデルがゴールドで縁取られ、ブラックの錨が施された取り外し可能なファブリックバンドキーパーを備えている。
偶然にも、1864年創業のジュリアン・フォール社は長きにわたり、赤いポンポンが象徴的なフランス海軍の水兵帽bachi(バシ)の縁につける装飾リボンを手掛けていた。このリボンには、水兵が従事する船や部隊の名前が織り込まれ、軍人として不可欠なパーツであった。
COMPREHENSIVE INDEPENDENT CERTIFICATION AND HIGH STANDARDS
スイス連邦計量・認定局(METAS)によるテストを受けたペラゴス FXD GMTは、現時点で機械式時計業界で最も厳しい基準であるマスター クロノメーター認定を受けている。この認定は、包括的な認証制度として精度、耐磁性、防水性、パワーリザーブなど、機械式時計に求められる主たる機能特性を検査対象としている。その基準は精度一つとっても極めて高く、認定を得るためにはケーシングされた時計の日差が5秒以内(0、+5秒)でなければならない。これは、スイス公認クロノメーター(COSC)がケーシングされていない状態のムーブメントに定める(-4、+6秒)という基準よりも5秒も厳しい上、チューダーがマニュファクチュール ムーブメント搭載の完成品に対して独自に定める日差(-2、+4秒)という基準よりも1秒少ない。さらにこの認証制度は、15,000ガウスの磁場環境にさらされた状態の時計の計時精度も保証する。そして、ブランドが提唱する防水性能やパワーリザーブも保証する。また、認証を得るには、2つの前提条件が必要であることにも注意が必要である。正式にスイス製を名乗るための基準を満たし、スイス公認クロノメーター検査協会(COSC)の認定を受けたムーブメントを搭載していなければならないのだ。
CRITERIA AND TESTS FOR MASTER CHRONOMETER CERTIFICATION
ペラゴス FXD GMTがマスター クロノメーター認定を受けるためにクリアした前提条件およびテスト
– スイスメイド
– スイス公認クロノメーター検査協会(COSC)による認定
– 2つの異なる温度下、6つの姿勢、そして2つのパワーリザーブ残量状態(100%および33%)での精度テスト
– 15,000ガウスの高磁場環境下でのスムーズな動作確認およびその後の精度テスト
– METASによる200m(660ft)防水保証
– METASによる65時間パワーリザーブ保証
THE MANUFACTURE CALIBRE MT5652-U
ペラゴス FXD GMTに搭載されているマニュファクチュール キャリバー MT5652-Uはチューダーがこだわる技術開発プロセスを示すもので、後から付加するモジュールに頼るのではなく、新しい機能を組み込むことを開発時から想定したムーブメントの構造だ。一部の人には些細なディテールかもしれないが、これを好む機械式時計愛好家も多いだろう。
このムーブメントは、また一般的なチューダーのマニュファクチュール キャリバーの外観と雰囲気に加え、太陽をモチーフにしたデザインがレーザーで施され、ブリッジに配された「Master Chronometer」の表記がその卓越した性能を際立たせる。モノブロックのタングステン製ローターはオープンワーク仕様で、チューダーのマスタークロノメーター キャリバーに特徴的な、サンドブラスト仕上げのディテールを備える放射状の溝がレーザーで施されている。この仕上げのコンビネーションはブリッジにも施されている。
堅牢性と正確性を兼ね備えるマニュファクチュール キャリバー MT5652-Uの可変慣性テンプは、頑丈な両持ち式のトラバーシングブリッジに保持されている。またこのムーブメントはスイス公認クロノメーター認定を取得しており、協会が定める基準を上回る高い精度を達成している。COSC認定ではケーシングされていない状態のムーブメントで日差の平均を-4秒から+6秒の間で許容しているが、チューダーはさらにその上、腕時計として組みあげられた状態で日差6秒(-2秒、+4秒)という基準を適用している。METASでは、マスター クロノメーター認定を受ける時計がより厳しい日差5秒(0秒、+5秒)以内で動作することを条件としている。マニュファクチュール キャリバー MT5652-Uは高い精度だけでなく、15,000ガウス以下の磁場では影響を受けないというその耐磁性の高さも認定されている。
その他の特筆すべき特徴は、マニュファクチュール キャリバー MT5652-Uが約65時間のパワーリザーブ、つまり「ウィークエンドプルーフ(週末耐性)」を誇ることである。それは腕時計を金曜日の夜に外し、再び月曜日の朝に身に着ける際に、再び時間を合わせてなくてもよいということを意味する。
THE TUDOR GUARANTEE
1926年にハンス・ウイルスドルフによりブランドが創設されて以来、チューダーが持つ理想の腕時計を作るためのビジョンは変わらない。それは終わりなき堅牢性や耐久性、精度の追求である。この経験、そして自社の時計の優れた品質に対する自信により、チューダーはそのすべての製品に5年間の保証を適用している。この保証は、時計の登録や定期的な点検を必要とせず、譲渡も可能である。また使用頻度や状況によってことなるものの、オーバーホールに関しては約10年の間に1回程度を推奨している。
ぺラゴス FXD GMT “ZULU TIME”
REFERENCE 2542G247NU
PRICE 651,200円(税込)
https://www.tudorwatch.com/ja/pelagos-fxd-gmt
TUDOR
チューダーは、数々の受賞歴のあるスイス製ウォッチブランドで、洗練された美しさ、確かな信頼性、そして価格を超える独自の価値を備えた機械式時計を提供する。チューダーの起源は1926年にまで遡り、この年ロレックスの創立者ハンス・ウイルスドルフの代理者が「チューダー(The Tudor)」を初めて登録。その後、1946年ハンス・ウイルスドルフは、ロレックスの品質と信頼性を有し、先駆性を備えた腕時計を製造するために、モントル チューダー SAを設立、自身の名義で再登録した。チューダーの腕時計はその歴史において、最も果敢に活動する冒険家や熟練のプロフェッショナルたちに選ばれてきた。ブラックベイ、ぺラゴス、ヘリテージ、チューダー ロイヤルといった象徴的なモデルをラインナップし、チューダーは2015年より、多機能で優れた性能を備えた機械式のマニュファクチュール キャリバーも提案している。