創業150周年の節目に薄型技術の限界を超える
スイスのウォッチ&ジュエリーメゾン ピアジェは、創業150周年という特別な年に、ウォッチメイキングの歴史において初となる偉業を成し遂げました。
ムーブメントを作り始めて150年、初の薄型キャリバー「9P」の開発から67年、2018年の世界最薄ウォッチ「アルティプラノ アルティメート コンセプト」の発表から6年の時を経て、ピアジェはまたしてもウォッチメイキングにおける創造性の限界に挑みました。
エレガンスを追求し、独創性を具現化したこの比類なきタイムピースは先行モデルと同じわずか2mmという薄さの中にトゥールビヨンを搭載しています。進化し続けるピアジェが作り上げたこの画期的なクリエイションは、メゾンにとって技術面だけでなく達成感という意味においてもマイルストーンと言えます。
「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」は、それ自体が1つのパラドクスです。そしてもちろん、ウォッチメイキングにおける実現可能性の限界を超えたこのモデルは、150年にわたってピアジェの時計職人がいかにウォッチを進化させてきたかを物語っています。
ケース径41.5mm、2気圧防水、そしてブルーPVD加工されたコバルト合金製ケースの「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」は、一見すると必要な機能を漏れなく兼ね備えた日常使いのウォッチであるかのようです。しかしわずか2mmという厚さとトゥールビヨンの存在によって、このウォッチは非日常的な異次元に達しているのです。ブリッジの中で回転する「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」のキャリッジは、現在の最先端技術の定石を大きく覆します。裏蓋のサファイアクリスタルから見えるトゥールビヨンの下には、ピアジェの創業以来その原動力となってきたモットー「常に必要以上に良いものをつくる」が刻印されています。ピアジェの文化は、人、発明、コラボレーションを基盤とし、この精神が驚異的な薄型への挑戦を可能にしてきました。
最高を生み出すアトリエ
「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」は厚さわずか2mmで、1ミクロンたりとも超えていません。そしてケース径は41.5mmで、こちらも1ミリたりとも超えていません。先行モデルとまったく同じサイズであるにもかかわらず、トゥールビヨンを搭載することで30%増えるパワー消費量に対応しています。
これは単なる数字の羅列ではなく、ピアジェが成し遂げた偉業の証であり、その背景には、ラ・コート・オ・フェにあるピアジェのマニュファクチュールの中でひそかに繰り広げられた時間との闘いという長いドラマがあります。3年間にも及ぶ作業、見直し、自問自答が、このプロジェクトに関わったすべての人の人生に刻まれました。
トゥールビヨンは、ウォッチメイキングの頂点とされる王道のコンプリケーションの1つです。
このウォッチは、美しさのために技術を活かすというメゾンの昔からのアプローチに忠実でありながら、技術面においても詩的なまでの美しさという面でも、新たな次元に到達しています。このプロジェクトの指針は究極の精度を得ることでした。先行モデルと同じ薄さを保ちつつトゥールビヨンを加えるために、見た目には分かりにくいものの、ピアジェは先行の「アルティプラノ アルティメート コンセプト」の部品の90%を設計し直し、さらに新しい機構も開発しなければなりませんでした。「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」の内部は、すべてが新しく、長年の経験を活かして再開発・再設計されています。
「『アルティプラノ アルティメート コンセプト』と確かに似ていますが、それは表面上の話です。トゥールビヨンを足しただけのように見えて、実際は何もかもを新たに見直したのです」と、ピアジェCEO バンジャマン・コマーは語っています。
ムーブメント
「アルティプラノ アルティメート コンセプト」は6年以上にわたる共同作業の成果であり、2020年のジュネーブ・ウォッチ・グランプリ(GPGH)で栄誉ある「金の針賞」を受賞しています。完成までに長い道のりを経たことは言うまでもなく、このウォッチによってもたらされた挑戦の数々によって、ピアジェは薄型ウォッチ開発のゴールに到達したと思われたかもしれません。
しかし、先行モデルが納品された時から、創業以来マニュファクチュールを構えるラ・コート・オ・フェの時計職人チームは、このウォッチを超える次なる一手は何なのだろうと考えずにはいられなかったのです。答えはサブダイヤルを増やすことではなく、視覚効果、ムーブメント、技術的な革新性を兼ね備え、ウォッチ愛好家から認められるコンプリケーションを組み入れることでした。
「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」誕生のの背景は、かつてキャリバー「9P」と「12P」、「アルティプラノ アルティメート オートマティック」「900P」または「910P」、そして「アルティプラノ アルティメート コンセプト」を開発した時と似ていました。
新しいアイディアがありながら、それをいかに実現するかという難問への答えはなかなか見つからなかったのです。キャリバー「900P」の発明から繰り返されてきた試行錯誤を礎として、このウォッチはムーブメントとケースが一体化しています。貴重なスペースを確保して超薄型を実現するため、ケースバックがムーブメントの地板の役割を果たしており、外面は肌に接しています。ケースはブルーコバルト合金製で、極めて優れた厚さと強度のバランスを誇ります。ケース側面に埋め込まれたリューズは、引き出してから専用ツールで操作します。このツールは歯車減速とトルク制御システムが内蔵されており、香箱にエネルギーを与えることができます。
レボリューション
部品の配置は先行モデルと同じで、時分表示の文字盤はややオフセンターに置かれています。トゥールビヨンは10時位置にあり、リングには秒表示の目盛が刻印されています。最大の制約にして決して妥協することができないのは薄さであり、全部品を厚さ2mmの中に納めることが課されました。最大の難問は、先行モデルと同じケース径、同じケースの厚み、そして同じ厚みの部品を用いる中で、既に部品で満たされた空間にいかにしてトゥールビヨンを挿入するかという点でした。
そこから、ラ・コート・オ・フェとジュネーブの時計職人の思考の歯車は回り始めました。紙と鉛筆、記憶と文化、開かれた精神とウォッチメイキングに関するノウハウ・・・。開発にはありとあらゆる人材が携わりました。ピアジェが常に実践してきた開発手法に基づいて、アイディアを採用または不採用にするために試行錯誤を繰り返し、常に一からやり直すということが行われました。こうして70種類以上のトゥールビヨンキャリッジ、15種類以上のアンクル、30種類以上のケースフレームを改良後、ようやく「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」の最終的な機構が完成したのです。
ピアジェは薄型技術のノウハウを生かし、中でも厚さ7.35mmのケースに収められた厚さ4.6mmの薄型トゥールビヨンキャリバー「670P」の高度な専門技術を採用しました。このフライングトゥールビヨンはわずか1.49mmの厚さに収まっており、上部ブリッジがなく、トゥールビヨンはその下側から固定されています。しかし、数百分の数ミリの差で、ラ・コート・オ・フェのマニュファクチュールは目標に達することができず、トゥールビヨンを全面的に考え直す必要がありました。
やがて新たなアイディアが浮かびました。トゥールビヨンをその外周で固定するというものです。「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」のトゥールビヨンは環状です。外周はセラミック製ボールベアリングで固定され、1分間に1回転します。素材は主にチタンでできていますが、可能な箇所ではスチールも使用されています。次に取り組むべきは動力の課題でした。
優れた技巧
「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」は、オリジナルの「アルティプラノ」の十字型のデザインを再現した独自のスケルトン香箱を採用しています。しかし、トゥールビヨンのエネルギー消費量は固定式の調速機を備えたムーブメントよりも多く、「アルティプラノ アルティメート コンセプト」より約25%多くの動力を消費します。
にもかかわらず「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」は、40時間以上のパワーリザーブを備えています。この驚異的な性能は、2つの要素に起因しています。
1つ目は、パワーを最も効率よく伝達する因子に基づいて作り直された、カスタムメイドの主ゼンマイです。ブレードの厚みをやや増やすことで、新たに必要なエネルギーの供給が可能になりました。そして2つ目は、ピボットの代わりにボールベアリングを使用したことです。
可動式のパーツの回転を容易にすることで、摩擦を軽減しました。こうして確保されたエネルギーをパワーリザーブに使用できるだけでなく、薄型化も達成できました。設計におけるさらなる技術革新は、ウォッチ全体の厚みに合わせてサファイアクリスタルの厚みを文字盤側で0.20mm、裏蓋側では0.16mmに抑えた点です。ウォッチの厚さが2mmになると、すべてにおいて方法論が変わります。身に着ける人がほとんど気づかない点であっても、時計職人にとってはきわめて重要な意味を持ちます。特に小型化された部品の機械加工公差は、最大の課題でした。
テンプのリムとサファイアクリスタルの厚みが共に0.2mmのため、これらを製造する機械は約2ミクロン、つまり0.002mmの精度を持たなければなりませんでした。その後の装飾的な表面加工の工程を考えると、この段階での精度はさらに重要になります。以前は6本だった歯車のアームの数は4本になっていますが、手作業で行われるダイヤモンド研磨と面取りの装飾の際に部品が変形しないように作る必要がありました。「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」は、さまざまな革新の集大成といえるでしょう。
しかし真の偉業は「アルティプラノ アルティメート コンセプト」と同じく、このウォッチが醸し出す美しさです。硬貨と同じ厚さわずか2mmのトゥールビヨン搭載ウォッチがもたらすのは、驚きと快適な着用感です。横から見ると、ウォッチはほとんど見えません。裏面は思いもよらない魅惑的な開口部を備えています。
そして表面は驚くほど奥行きを感じさせ、想像を超えるようなユニークなスタイルを作り出します。着けていることを忘れてしまいそうでありながら、堂々たる存在感も感じさせるウォッチ。ピアジェらしいブルーとゴールドのカラーの組み合わせは、深みのあるエレガンスを表現しています。
このエレガンスこそ何よりもピアジェが常に目指しているものであり、ピアジェDNAの中核をなすものです。「アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン」は身に着ける楽しみと、眺める楽しみの両方を与えてくれます。制作に携わった人々とマニュファクチュールの長い歴史への想像も刺激します。そして、次にピアジェはどんな驚くことをするのだろうという楽しみももたらしてくれます。
Altiplano Ultimate Concept Tourbillon
アルティプラノ アルティメート コンセプト トゥールビヨン
-ケースと一体化した970P-UCピアジェ自社製薄型手巻機械式ムーブメント
-石数:13石 、ボールベアリング数 6個
-オフセンターダイヤル、時、分表示、スモールセコンド、ワンミニッツペリフェラルトゥールビヨン
-モノブロックダイヤル
-ケース径:41.5mm
-厚み:2mm
-防水性:2気圧
-パワーリザーブ:約40時間
-振動数:4Hz(28,800vph)
-コバルト合金製ピンバックル
Piaget(ピアジェ)
ピアジェの独特の魅力はその大胆なスタイルにあります。1874年の創業以来受け継がれるクリエイティビティー溢れるスタイルは、華やかな時計やジュエリーに体現されています。大胆な創造性に対する情熱は、スイスのジュラ山脈にあるラ・コート・オ・フェで生まれました。メゾンの創立者であるジョルジュ=エドワール・ピアジェが、その村にある家族の農場の中に最初の工房を設け、高性能ムーブメントの制作をはじめたのは1874年のことでした。このときから時計職人としてのピアジェの名は広く知られるようになります。
パイオニア精神を大切にするピアジェは、1950年代後半に薄型ムーブメントの設計・ 製造に乗り出しました。メゾンを代表する「アルティプラノ」の礎石となるそのムーブメントはピアジェの代名詞のひとつになり、時計製造の世界に確かな足跡を残しました。同時に、ピアジェは常に創造性と芸術的な価値に重きをおき、ゴールドと色とりどりのカラーの融合、新しいシェイプ、高価な宝石、オーナメンタルストーンの文字盤といったスタイルを受け継いできました。
卓越したクラフツマンシップのもと、メゾンは「アルティプラノ」、「ピアジェ ポロ」、「ライムライト ガラ」、「ポセション」、「ピアジェサンライト」、「ピアジェ ローズ」、「エクストリームリーピアジェ」などの素晴らしいクリエイションを創り続けています。
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